【BPO】情シスがヘルプデスク業務を外部委託する際に知っておくべきポイント

社内SE・情シス
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企業の情報システム部門において、担当業務が細分化された大企業ではない限り、必ず必要となる業務の一つに「ヘルプデスク」があります。

社内の様々な部署からパソコンのトラブルや使い方に関する問い合わせを受けたり、システムに関する相談事や依頼を電話で受け付けます。

この「ヘルプデスク」業務は、社内ITにおける問題点に気付くきっかけになったり、困っている他部署の社員を直接助けることになる業務でもあり、情シスにとっても非常に重要な仕事です。

しかし、一方で、このヘルプデスクに対する問い合わせが多すぎて、進めるべきプロジェクトが遅れてしまったり、システム改善を提案する余裕のない企業のシステム管理者も多くいます。

その一つの解決策として、「ヘルプデスク業務の外部委託」があります。

今回の記事では、過去にはヘルプデスク業務の外注化に成功した私の実体験をもとに、ヘルプデスク業務を外部に委託する場合に知っておくべき知識やポイント、業者選定時に意識してほしいポイントを紹介していきます。
 
 

ヘルプデスク業務の外注先について

まず初めに、企業のヘルプデスク業務を引き受ける専門業者について、簡単に紹介しておきます。

こういった業者さんは非常に多くあり、その会社の規模やサービス内容、必要となる費用は様々です。

例えば、複合機などの大手事務機メーカーが、顧客企業の業務をアウトソーシングするサービスの一つとして、ヘルプデスク業務にも対応しているケースや、中規模や小規模のシステム開発会社が、受託開発で構築した顧客のシステムの運用をまるっと引き受けて、その運用業務のなかにヘルプデスクも含んでいるケースなどもあります。

また、純粋にヘルプデスクの外部委託のみを主の事業として展開している企業も多くいます。

今回の記事でも、上記のようなヘルプデスク業務のアウトソース専門企業に対して委託をする前提で解説をしていきます。

 
 

ヘルプデスク業務を外部委託する場合のポイント

当項では、初めてヘルプデスク業務を社外に委託しようとする場合に、予め頭に入れておいたほうが良いポイントを紹介していきます。
 

費用の考え方は受電受付時間と同時対応可能数

まずは、皆さんがまず気になる費用についてです。

この費用は、一般的に月額での定額制です。
また、ヘルプデスク業者によって月額費用の値付け幅にはかなり差があります。

ただ、どこの業者でも基本となる費用算出時の条件となるのが、当項の見出しでも記載した以下の二点です。

  • 受電受付時間
  • 同時対応可能数

受電受付時間

上記の「受電受付時間」とは、ヘルプデスクの電話を何時から何時まで受け付けるのかです。
例えば、午前10時から17時までで平日のみや、22までとか、24時間365日だとかの対応時間や曜日の指定です。
この受電受付時間は、ヘルプデスク業務を委託する際に最初に契約で取り決めます。

一番費用を安くし易いのは、午前9時や10時から17時までといった、受電受付時間が7時間や8時間の範囲の契約です。
この時間帯での契約の場合は、ヘルプデスク業者側でも日勤の担当者の定時勤務内で収まります。
ヘルプデスク業者側では、担当者を複数名確保してお昼休憩は交代で行かせます。

例えば、仮に受電受付時間を10時から22時までの契約にした場合、ヘルプデスク業者側では、担当者を前半と後半のシフト制にして対応に当たらせる必要があり、倍の人数が必要になります。
それはそのまま委託費用に反映されていきます。

24時間365日契約の場合は、夜勤や土日祝の勤務が発生し、そのぶん費用もかなり割高になります。

同時対応可能数

上記の「同時対応可能数」とは、言葉の通り、同時に電話対応ができる数です。
同時に複数回線分の通話ができる必要があるので、必要回線数と言い替えてもよいかもしれません。

同時に電話を受けるには、物理的な回線数が必要になるとともに、電話に出る担当者も必要になります。

大抵のヘルプデスク業者の担当者は、複数の顧客企業の対応を掛け持ちしており、自社のみを専任で担当するようなケースは少ないのですが、それでも自社の問い合わせに対応する担当者を増やすほど、費用は加算されると認識しておいてください。
 

最初に対応フローの整理とマニュアル化

ヘルプデスク業者は言ってみれば「ヘルプデスクのプロ」ですが、まったく自身と縁もゆかりも無い会社のシステムや端末に関する問い合わせに関して、なんの予備知識もなく答えられるわけではありません。

顧客企業の業態や業務、運用を知らなくても受け答えができるように、問い合わせ内容に応じた対応フローを整理して、ヘルプデスク業者側の担当者間で使用するマニュアルを作成していきます。

このマニュアルをもとに、ヘルプデスク業者の担当者は受け答えをしていくことになるため、非常に重要です。

顧客である情シスでは、業者にマニュアルの作成を丸投げすることはできません。
自部署に来る社内からの問い合わせ内容を知るのは情シスのみであり、それらを全て開示していかないと、適切なマニュアルは作れません。

また、マニュアルの精度が悪ければ、ヘルプデスク業者に来た問い合わせを自己完結できなくなり、結局情シス側にエスカレーションされてきてしまいます。

それでは社外に委託する意味がありません。

また、この対応フローの整理やマニュアル作成をしながら、どの分野の問い合わせ内容であればヘルプデスク業者側での自己完結を目指し、この問い合わせ内容についてはすぐに情シス側にエスカレーションするなどといった役割分担も併せて検討していきます。

なお、対応フローの整理とは。情シスが従来から対応していたフローをそのまま渡すのではなく、マニュアルに落とし込めるぐらいにシンプルにしたり、既存の業務自体を見直すことも含まれます。
 

対応マニュアルの作成や導入前準備で初期費用が掛かる

すべてのヘルプデスク業者がそうかはわかりませんが、一般的には、対応マニュアルの作成で必要になる工数や、顧客側の業務内容や機器構成などのヒアリングに伴う工数は、初期費用として外部委託時の月額費用とは別で必要になります。

顧客目線で言えば、労力を掛けて自社のことを色々教えているのに何で費用を請求されるんだと感じるかも知れませんが、業者側は顧客の環境を知るために、リーダークラスの担当者を何人日もその事前準備作業に充てる必要があり、タダで行うわけにはいきません。

また、導入前に作成する対応マニュアルなどのドキュメントや顧客環境のヒアリングを十分に実施してもらわないと、その後のヘルプデスク業務の運用開始時にまともに受け答えができずに、顧客である情シス自身も困ることになります。

導入前の準備で必要になる費用は業者によっても様々な価格設定があり、顧客の企業規模によっても変わってくるため、一概に高い安いとは言えませんが、その費用も業者は予め提示してくるため、内容をよく精査して適切な費用を見極めてください。

 

電話の転送設定や保留転送などのビジネスフォンの仕様を確認

おそらく多くの会社では、情シス直通の電話番号や情シスの部署共有の内線番号があるかと思います。

それらはPBXとビジネスフォンで制御するのが一般的です。

ヘルプデスク業者にヘルプデスク業務を委託する場合に、この電話の連携も重要になります。

社内から外部委託するヘルプデスク業者に問い合わせをする場合、ヘルプデスク業者が保有している電話番号に直接掛けてもらう場合もあれば、情シス直通の電話番号に対してPBX側でヘルプデスク業者への転送設定を入れて、契約時間の切り替わりで転送設定をオンオフするような場合もあります。

情シス直通の電話番号に対して転送設定を入れて運用する場合は、社内のユーザーは常に同じ電話番号に掛ければ良いため、ユーザーは電話を掛ける先に迷うことはありません。

その代わり、社内のユーザーは緊急時などで情シスと直接連絡を取りたいときに転送されてしまうことになり、また、ヘルプデスク業者から情シスに連絡を取ろうとしても術がなくなってしまうため、緊急連絡用の電話番号を用意しておく必要があります。

また、ヘルプデスク業者が電話を受けて、その電話を切らずに情シスに電話を回せる構成が作れるかも、いざ運用が始まると重要です。

特に運用開始直後においては、なかなかヘルプデスク業者側で自己解決ができず、問い合わせ内容をヒアリングするのが精一杯で、そのまま情シス側にエスカレーションしてくるケースが大半です。

業者側で受けた電話を情シスに回せる環境が作れない場合、社内のユーザーからの問い合わせの電話を業者側でいったん切り、業者が情シスに電話を掛けて問い合わせ内容を伝え、情シス側の折返しの電話をユーザーに待ってもらうことなります。

ユーザーは一分一秒でも早く問題を解決したいがために電話をしてきており、そういったやり取りが繰り返されると、それは大きな不満に繋がっていきます。

そのため、もし電話を切らずに取次ぐ構成が作れそうなら、そういった構成を取ることをオススメします。
ただ、既存のビジネスフォンやPBXの構成や、業者側の回線構成によっては難しい場合もあるので、事前によく確認をしておきましょう。
 

運用開始後は「自己完結率」をKPIにしてモニタリング

ヘルプデスク業務を外部委託した場合に、最も残念なケースは、業者側で受けた問い合わせをまったく自己解決できずに、全て情シス側へエスカレーションされてくるケースです。

大抵このような事態の原因は業者側ではなく、適切にチェックがされていない不完全なマニュアルのまま運用を初めてしまったり、社内で広く十分なコンセンサスを得ないまま導入してしまった情シス側や顧客企業側に起因している場合が多いかと思いますが、そうなってしまうと、社内からの評判も悪化し、せっかく導入できたヘルプデスク業務の外注化を廃止せざるを得ない状況になってしまいます。

そこで大事なのは、ヘルプデスク業者に対して問い合わせが来た際に、情シスにエスカレーションせず業者側だけで対応が完了する「自己解決」がどれぐらいできているのかという点です。

一般的なヘルプデスク業者では、問い合わせがあった内容を全て記録しています。
問い合わせをしてきたユーザー名や部署、問い合わせ内容や案内した対応内容などです。

これらを記録しておかないと、もし情シス側にエスカレーションする際にも対応の適切な引き継ぎができません。
また、問い合わせ対応の件数はヘルプデスク業者の作業実績でもあり、顧客に対して月次などで報告する義務があります。

尚、大抵のヘルプデスク業者では、この月次報告をレポート化して毎月の成果物として顧客に提供します。
業者にもよりますが、問い合わせ内容を分類分けして月毎に件数を集計し、その分類の割合をグラフでまとめてくれる業者もいます。

その集計内容のなかには自己完結率を明記してくれていることも多いので、ヘルプデスクを外注化して、その効果を測る場合には「自己完結率」をKPIとして扱うのが分かりやすいです。

自己完結率を高めるには業者側だけの努力では難しく、顧客である情シス側でも、月次レポートでまとめられた問い合わせ内容の集計を分析したうえで、業者と協議をしながらマニュアルを見直したり、ヘルプデスクに問い合わせる際に報告すべき事柄のルールを徹底するように社内に案内するなどの工夫をしながら、業者と顧客が協力しながら進めていく必要があります。
 

ヘルプデスク+αで相乗効果を狙う

ヘルプデスクを社外に委託して、自社の情シスの負荷を軽減するのが大きな目的になりますが、可能な限り、ヘルプデスクに付随した他の業務も併せて委託し、相乗効果を狙いましょう。

いくら適切に対応マニュアルを作り込みヘルプデスク業者の担当者に教育を施しても、すべての問い合わせに対して自己完結できるわけではなく、情シスへのエスカレーションは必ず発生します。

純粋にヘルプデスク業務だけを外部に委託する場合は、前述した自己完結率によっては費用対効果はあまり良くならない可能性もあります。

企業の情シスでは、ヘルプデスクへの問い合わせを起点にして他の業務に発展することも多々あります。

例えば、パソコンの調子が悪いと報告を受ければ、そのパソコンを交換するために新しいパソコンをセットアップして現地へ送る必要があります。
基幹システムのデータの入力ミスや誤りなどが見つかり、その修正依頼が来たら、システム管理者用のメンテナンスアプリなどを介してデータを直します。

このように、「ヘルプデスクを起点にして発生する作業」も併せてヘルプデスク業者側で対応できれば、非常に効率的になります。

以下ではヘルプデスクと組み合わせて外注化することで相乗効果が見込める業務例を紹介していきます。

ヘルプデスクと併せてキッティング作業の委託

自身の経験では非常に有効な組み合わせでした。
ヘルプデスク業者側でパソコンなどの機器のキッティング作業も併せて委託するケースです。

ヘルプデスクにくる問い合わせのなかには、やはりパソコンの不調や故障に起因した内容も多く、キッティング業務を併せて委託することで、以下のメリットがあります。

  • 自社で使用するパソコンの設定を業者側でも理解することで、ヘルプデスク対応の質が向上する。
  • 問い合わせから機器の手配、発送までの一連の流れが自動化される。
  • ヘルプデスクと関係なく期末や期首など大量のキッティングが発生するケースでも支援してもらえる。

ヘルプデスク+キッティングを同じ業者に委託する場合の運用例は以下です。

  • パソコンは常に一定数を在庫として業者に預けておく。
  • 業者側では比較的余裕のあるときに在庫パソコンの初期セットアップまでを終わらせておく。
  • 初期セットアップはクローニングを活用する。
  • 機器発送時に機器固有のパラメーターを情シスが指示をする。

上記は、私が構築した運用の実例です。

尚、機器のキッティング作業の費用は、1台ごとの単価を業者と協議して取り決めてヘルプデスクの月額費用に加算して請求をしてもらっていました。

この作業台数単価は、情シスが提示した作業手順をもとに業者側で作業時間を計測し、それを作業単価として最初に取り決めました。

キッティング作業は複数台をまとめて実施するほうが一台あたりの時間も短くなるため、まとめて作業する台数を決めて、常にその台数に対してキッティングを行うといった取り決めもして、単価を安く抑えるといった工夫もしております。

ヘルプデスクと併せてデータ修正作業の委託

企業内で様々なシステムを運用していると、ユーザーがデータの入力を間違えて、そのデータを直してほしいといった依頼が来たりもします。

その場合、本来はユーザー自身で修正できるような機能を実装しておくのが望ましいのですが、内部統制の兼ね合いだったり、その機能を実装する予算が無かったりして、各システムの管理者権限や実データへのアクセス権を持つ情シスが対応せざるを得ない場合も多いです。

ただ、よくある依頼であれば、情シス内のみで使用するデータメンテ用のツールを自作している場合も多いかと思います。

もし頻繁に来るデータ修正、データ変更依頼に対応するための作業がツール化されていたり手順化されており、その作業をおこなうにあたって企業ごとの業務知識や高度な技術を必要とするものでないのであれば、そのツールや作業手順をヘルプデスク業者とも共有し、特定のデータメンテナンス業務も併せて委託することも効果的です。

それをすることで以下のメリットがあります。

  1. 自己完結率が向上する。
  2. 作業が記録に残る。
  3. 社内からヘルプデスク業者への信頼獲得に繋がる。

業者に対して作業ツールを提供し、特定の依頼に対してはそのツールを使用して安全に作業ができるようになり、ヘルプデスク業者の受電時の自己完結率は確実に向上します。

また、業者側では問い合わせに伴う対応はすべて記録に残すことから、個々のデータ変更内容も記録されます。

そして、一番効果的だと思うのは、上記3.の点です。

社内のユーザーは業務システムに関する困りごとや作業依頼をしてきた際に、ヘルプデスク業者では対応できないとなると、やはり社内のシステムの事は外部の業者で対応してもらうことは無理なんだと失望します。

ヘルプデスク業者に問い合わせをしても、社外の人だから何も解決できないという認識が広がってしまった場合、それが現場からの大きなクレームに繋がり、ヘルプデスク業務の外注化を辞めることに繋がってしまいます。

逆に、外部の業者であっても、特定の依頼であればすぐに対応してもらえるとなれば、それは社内のユーザーの信頼に繋がります。

社内のユーザーから信頼を得ているかは、そのヘルプデスクの外注化が成功しているかの大きな判断基準になります。
 

社内のあらゆる情報を可能な限り業者と共有する

ヘルプデスクでは、社内のあらゆる問い合わせが来ます。
それを自社の社員ではなく社外のヘルプデスク業者が答えられるようにするには、答えてほしい情報をすべて予め提示しておく必要があります。

また、ヘルプデスク業務を担当するということは、擬似的な社員のようなものでもあり、社員であれば知っておいてほしいことはも可能な限り伝えておきます。

具体的には以下のような情報です。

  • 自社の業態や事業の特徴
  • 本社や各拠点場所や電話番号
  • すべての社員のリストと組織図
  • 社内のIT機器構成や機器リスト
  • 社内の業務システムの種類や用途
  • 事業におけるキャンペーンやセールなどのニュース

これらのなかでも、拠点などの電話番号のリストや、社員に携帯電話を貸与しているなら社員ごとの携帯電話番号などは重要な情報です。

多くのヘルプデスク業者では、予め顧客が掛けてくる可能性のある電話番号を自社のシステムに登録しておきます。
そして、電話の着信時にはどの顧客の誰から、またはどの顧客のどの拠点から掛かってきた電話なのかを、自社で構築したCTIシステム(Computer Telephony Integration)で管理して運用しています。

前述したように、ヘルプデスク業者では、一人の担当者が複数の顧客企業を掛け持ちで担当することが一般的です。
よって、事前にCTIシステムに登録されていない電話番号から着信があると、まずどの顧客企業が問い合わせをしてきたのか?から確認をしていくことになり、非常に大変です。

問い合わせをしてきた顧客側でも、外部委託しているとはいえ、自社のヘルプデスクに問い合わせをしているのに会社名から確認されるのは戸惑います。

このように、顧客企業の拠点や社員のリストに付随した電話番号の情報は非常に重要であり、漏れなく業者に提供を行い、且つ、変更があれば都度報告をしていかなければいけません。

また、ヘルプデスク対応をするうえで、パソコンのトラブルやネットワークのトラブルに対応するためには、顧客企業で使用しているIT機器の機器構成や、保有している機器のリストも必要になります。

こういった情報も漏れなく渡すことで、業者側での自己完結率は向上します。

また、キャンペーンやセールといった営業上の施策なども、社内で予め公開されている情報であれば、それらも業者側にも共用する必要があります。

その施策内容によっては、問い合わせが増える可能性があったり、その時期固有の問い合わせが発生する可能性があります。
予めそういった情報が情シス側から提示されていれば、業者側はそれに備えることができます。

このように、ヘルプデスク業者に対しては広く自社の情報を共有しながら運用を進めていくことが重要です。

適切、且つ、柔軟なNDAを終結し、情報をどんどん開示していきましょう。
 
 

良いヘルプデスク委託業者を選ぶポイント

当項では、様々なヘルプデスク業者があるなかで、良い業者を選定する場合のポイントを簡単に紹介していきます。
 

名の知れた大手企業より中小専業企業

ヘルプデスクの外注先としてよく目にするのが、大手事務機メーカーがやっているBPOサービスと一つとして提供しているヘルプデスク業務の受託です。

こういった企業だと大手ということもあり確かに安心感はありますが、費用的な部分でもサービスの質的な部分でもあまりオススメはしません。

ヘルプデスク業務は、自社内の非IT系部署からITに関する問い合わせを受ける業務であり、その企業のITリテラシーの度合いによっては非常に泥臭い業務です。

ときには、マニュアルには書ききれないようなイレギュラーな問い合わせや面倒な問い合わせもあったりします。
そういった場合に、電話を出た担当者がどこまで柔軟に対応してくれるのかによって、情シスにエスカレーションされてくる割合が変わってきます。

当記事でも記載しましたが、どこのヘルプデスク業者も基本的には対応マニュアルに沿って個々の問い合わせに対応します。
このマニュアルに記載されていない問い合わせ内容であっても、可能な範囲でなんとかしようと対応してくれるのは、やはり大手のBPOサービスを運営している企業より中小のヘルプデスク専業やIT兼業の業者です。

もちろん中小の業者であっても柔軟な対応をしてくれない場合や、大手であっても柔軟な対応をしてくれる業者はあるかと思いますが、私の観測した限りでは、上記のような傾向は強かったと思います。

中小の業者では同時に対応できる問い合わせの本数や担当者の人数も限られており、御社が大きな規模の企業であれば委託するのは難しいかもしれませんが、そうじゃなければ、あまり大きくない業者から選定したほうが、サービスの質の面でも費用の面でも満足度は高くなるかもしれません。
 

IT技術を持つ会社及び担当者かを確認

問い合わせのすべてがITに関する内容でもないですが、情シスが担っていたヘルプデスク業務を委託するのであれば、やはり最低限のITに関する一般的な知識は必要になります。

その知識がないままに問い合わせを受けても、マニュアル通りの対応しかできないロボットのようなやり取りになってしまいます。

ヘルプデスク業者がシステム開発事業などのSIer的な事業もやっているなら、会社としての技術力は問題ないでしょう。

また、問い合わせを受ける担当者もある程度の技術力があってほしいのですが、個々の担当者の全員が十分な技術力を備えている業者は滅多にいないですし、そういった会社は委託費用も高くなる可能性が高いです。

よって、そこまでは望まなくても、担当者のリーダーにはある程度の技術力は備わっている必要があります。

ヘルプデスクの外部委託をする場合、一般的には運用開始前に自社の業務や情シスに来る問い合わせ内容、対応時のフローなどをヘルプデスク業者に説明しながら運用方法を決めていきますが、その役割を担う業者側の担当者が業者内のヘルプデスク業務のリーダーといったケースは多いです。

このリーダーがどこまでITを理解しているのかがとても重要です。

ただ、技術力は実際に一緒になって仕事をしてみないとなかなか見えてこないものです。
よって、客観的な物差しとしてIT系の資格の有無や、保有資格があるならその種類などを予め確認しておきます。

例えば、基本情報技術者やそれより上位の情報処理技術者試験に合格しているなら、ユーザーからくる問い合わせは十分対応できる知識があると考えることができます。
また、ベンダー資格などでいえば、ITILなんかもヘルプデスクと親和性が高いと感じます。

よって、ヘルプデスク業者を選定する場合は、その会社の事業内容やヘルプデスク業務の担当者の保有IT資格も選定基準の一つに加えておくことをオススメします。
 

委託業務の横展開に前向きな業者

前項でも紹介しましたが、情シスの業務を外部委託する場合、ヘルプデスク単体だけだとサービスを利用する費用に見合った効果はそれほど期待できない可能性もあります。

ヘルプデスクを外部に委託するメリットは、社内からの問い合わせの1次対応を業者に委ねて情シス自体の電話対応を減らすという点だけではなく、他社に自社の業務を知ってもらう点です。

業務を知ってもらうことでさらに手伝える業務があれば、それらも併せて委託することができます。

逆に、ヘルプデスク業者に対してヘルプデスクの1次対応だけを委託し他業務の横展開を狙わないのであれば、そもそも問い合わせの要因となっている対象を分析して改善するといったあるべき対処をして、外部委託に頼らないほうが無難です。

委託業務を横展開で広げることができれば、その業者ではより自社の事業や業務を知ることになり、結果的にヘルプデスクの対応の質が向上し、自己完結率の改善に繋がります。

ヘルプデスクの外部委託に限りませんが、どんな仕事でも新しいことや大きいことを始まる場合は、主の目的から波及した相乗効果も狙いながらアイデアを練ることが大切です。

 

情熱を持って業務に向き合ってくれる業者や担当者

ヘルプデスク業務は、ITにまつわる仕事ではありますが、相手をするのは人間です。
基本的には困り事や相談事があってヘルプデスクに電話をしてきます。

ヘルプデスク業者の採算だけを考えれば、問い合わせ内容がマニュアルに無いものだったり、対応に時間が掛かりそうな内容であれば、さっさと解決することを諦めて、顧客の情シスにエスカレーションしてしまう方が効率的です。

ただ、なかには問い合わせに対して、なんとか解決まで導こうと時間を掛けて対応してくれる業者や担当者もいます。

そういった仕事の向き合い方をしてくれる業者や担当者であれば、社内のユーザーからも信頼を得ることができ、時間を掛けていくことで対応できる問い合わせも増えていき、その外注化プロジェクトは必ず成功します。

そのような熱意や責任感のある業者は、初期の業者選定時の打ち合わせにおいても発言や行動がしっかりしていたり雰囲気から伝わってきます。

ここを注意深く見極めましょう。

会話の中で常に逃げ道を作る、確認した事項に対して断言をしてくれない、踏み込んだ質問をしてこない。
こういった業者は避けたほうがよいかもしれません。
 
 

最後に

今回の記事では、私が実際にヘルプデスクの外部委託を実施した経験から、外部委託を検討する際に、予め知っておいたほうがよいポイントと、ヘルプデスク業者を選定する際に気にしてほしいポイントを紹介しました。

ヘルプデスク業務を外部に委託して、運用が安定させるまでは非常に大変ですが、ある程度の安定してしまえば、非常にメリットが大きいです。

問い合わせ対応の業務に忙殺されている情シスは、ぜひ積極的に検討してみてください。

今回も長々と読んでいただきましてありがとうございました。
それては皆さまごきげんよう!

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