当ブログは比較的経験の浅いIT技術者や何らかのかたちでITに関わることのある、非IT技術者に向けて記事を書いています。
通常は特定の技術やTipsの紹介や解説などを記事にすることが多いですが、今回は仕事への向き合い方や、仕事におけるコミュニケーションの取り方などを記事にしていこうと思います。
5つの心得
顧客の要望は内容ではなく目的を重視する
例えば貴方がSEであれば、システムに対して顧客から要望を受けることがあるかと思います。
貴方が営業であれば、自社で取り扱う製品やサービスに対して顧客から要望を受けることもあるかと思います。
このときにもっとも大事なことは、要望の「内容」ではなく「目的」です。
真面目なSEや営業は要望の「内容」を漏らさず聞きメモします。
優秀なSEや営業は要望に対して「目的」を確認し、より良い(顧客にとって都合の良い、又は自分にとって都合の良い)「内容」を提案します。
ごはんを食べるときに「なぜ箸を使うの?」と尋ねた時に、「箸を使いたいから」と答える人はいません。
箸を使う目的は「手を汚さずにご飯を食べたいから」です。
もし、スプーンを使ってもらうほうが自分にとって都合が良ければ、相手にスプーンを使うことを提案し、相手は「手を汚さずにご飯を食べる」目的から逸脱しない為、提案を受け入れます。
要望の「目的」を理解していれば柔軟な対応が可能です。
顧客とのやり取りにしても同様であり、逆に「目的」の理解を疎かにして「内容」ばかりを重視してしまうと、仮に貴方がSEであれば、「内容」に縛られた非効率なシステムが出来上がったり、顧客のシステムに対する評価が「内容」をどれだけ満たせたのかという減点制になり、100点以上の評価はして頂けなくなります。
また、人から指示されて忠実にこなすだけの独創性の無い仕事は苦痛であり、仕事で得た経験や技術は大した価値を生みません。
顧客から高い評価を得るシステムは、顧客の「目的」を叶えつつ、より良い「内容」のシステムです。
顧客の「目的」は聞ければ必ず聞き、聞けなければ想像するクセをつけましょう。
物事を決めるときには必ず理由付けしよう
SEの仕事では、システムを設計したり、ハードウェアを選定したり、色んな物事を「決めて」いくことがあります。
例えばデータベースのテーブル設計をする際に、「氏名」というカラムに対してデータサイズを幾つで定義するか問われたら、貴方ならどう答えますか?
「20バイトぐらいで良いんじゃない?」とか「何となく30バイトで」みたいなノリはNGです。
必ず「その値が適切と判断した根拠」を答えられる理由付けをしましょう。
今回のカラム「氏名」のデータサイズであれば、
- 既存のシステムで扱っている「氏名」のカラムとデータサイズを合わせました。
- ネットで日本に実在する最も長い名前が収まるデータサイズにしました。
- IPAが出しているシステム設計ガイドラインを参考に定義しました。※実在するかは不明だが・・・
といった感じ、明確に理由付けをしながら物事を決めていくことが大切です。
昔に読んだマッキンゼーのコンサルタントが書いたビジネス書に、「提案書で何らかの提案をする場合はその根拠を三つ提示しろ」と書いてありました。根拠が一つなら反論されるかも知れないが三つあれば簡単には反論できない。そんなようなことが書いてあったと記憶しています。
SEの場合でも、当然論理的思考は大事であり、論理的思考は物事を決めるときなどに必ず理由とセットで定義していくことも論理的思考のトレーニングになります。
これが身についていけば、無意識に利用付けをするようになり、他人の決定した物事に対してもその理由を想像するようになります。
明確に理由を持った決定が失敗した場合は、その理由が誤りだったと分析でき、次の機会に生かすことが出来ます。逆に何となく決めた物事に対して、失敗をしてもそれを次の機会に生かす糧にはなり得ません。
SEは常に性善説ではなく性悪説で考えよう
日本人はどちらかと言えば、性善説的な考えの人が多いように感じます。
個人的な想像としては、田舎の方では玄関を施錠しないでいられることが美徳と持て囃されるような風潮や、日本は昔から海に囲まれた島国であり、国境が地繋がりではない地理的優位性から、他国から簡単には攻め込まれないという環境だったり、モラル教育が「神様が見てるからダメだよ」という教えではなく、「ご近所や周りの人が見てるからダメだよ」という相互監視の仕組みなんか影響しているのかなっと思ったりします。
「空気を読む」とか「阿吽の呼吸」とか、言わなくても上手くやってくれるだろうといった考え方などもそうですが、優秀なSEであれば、人とは不完全なもの、過ちを犯すもの、悪さをするもの、という前提に立った物事の考え方をします。
性悪説を前提に周囲とコミュニケーションを取ると、「人を疑うとは何事か?」とか「あの人の悪口を言うのは良くない」といった勘違いを誘発させて、周りから人格を否定されてしまうため、表立った性悪説を前提をした会話は控える必要がありますが、システムの設計や、業務の運用設計などといった何らかの「ルール作り」を場においては、必ず性悪説を前提としての物事を考えていきましょう。
会議は検討の場ではなく意思決定を場にしよう
どこの会社でも「会議が無駄に長い」とか「実施する意味が無い」などといったボヤキを聞きます。
会議に参加するのは末端の平社員ではなく、ある程度のポジションを与えられている社員である場合が多い。そういった人を何名も集めて時間を拘束する以上、実際にはしっかりとコストが掛かっています。
また世の中には会議や打ち合わせばかりしている人がいて、会議や打ち合わせは何の生産性も無い仕事にも関わらず、本人はしっかりと仕事した気になり「忙しい、忙しい」と連呼してたりします。
会議や打ち合わせに無駄に時間を掛けているのは何も日本だけの話ではなく、一見、先進的且つ合理的、効率的なイメージのある欧米の企業でもあるみたいです。
そういう話を見聞きすると、日本固有の問題では無いんだと、少しホッとします。
とは言え、やはり会議に対する向き合いかたは変えていくべきでしょう。
自身の議題の資料は予めメンバーに配布する
普通は会議の開始時に資料を配布しますが、その場合メンバーは初めて資料に目を通すことになります。そういう会議では、資料を説明するために一から十まで資料を朗読することになり、その時間が無駄です。よって、資料は会議の数日前にでも予め配布し、目を通しておいてもらいましょう。忙しくて読めないと言う輩はそもそも時間かあっても読まないので、会議の場で置いてきぼりにしましょう。
会議では必ずアジェンダ作って配布する
会議の場で自身の議題や進める段取りを要約したペラ紙(アジェンダ)を作り、会議開始時に配布しましょう。
自身の議題や進める段取りに対して項番を振り、箇条書きした簡単なもので結構です。
例えば以下の様な感じです。
◯日◯月 ◯◯会議アジェンダ
- 事前配布資料に関する補足説明
- 事前配布資料及び補足説明に関する質疑応答
- 事前配布資料の確認事項1に対する実施可否決定
- 事前配布資料の確認事項2に対する実施可否決定
アジェンダを用意することで、会議の場で話題が会議の趣旨から外れたり、外れそうになったときに、アジェンダに話を戻すことで話題も元に戻せます。
また、自身が会議の場で発表する際にもアジェンダに沿って話していけば良いので便利です。
後、アジェンダの項目と項目の間の行間は数行分空けてスカスカにしておくと良いです。そうすることで参加者はそのアジェンダにメモがしやすくなります。会議開始時に行間が空いている理由を伝えてあげることで、参加者にメモをするほど真剣に参加する様な意識付けをしつつ、そういった配慮が出来る人材だと周囲にアピール出来ます。
更に、アジェンダは「この会議ではこれらの内容で進めます」と明文化したことになり、アジェンダの項目に、検討事項に対するとか実施可否決定といった内容を入れておけば、会議の一番の目的である「何かを決める」という方向に必然的になります。
よく日本人は「決められない」「判断を先送りにする」「意思決定が遅い」と言われますが、それであれば、「決めざるを得ない」「先送りできない」「意思決定の場を用意する」をさせることで、会議を上手くコントロールし、迅速な決断を促していくこともできるでしょう。
正論を貫こう
「正論」という言葉には、何故かネガティブな会話で使われることが多いです。
「君の言うことは正論で正しいけど、実際には・・・」
「正論なんかより現実的な案を提示して・・・」
正論として論じられた内容は「本来あるべき姿」であり、周囲の人たちもそれを理解しているなら、正論が実現できない理由を並べて目標を下げるのではなく、正論の実現を阻む要因を分析して、どのようにしたら正論が実現できるのかを検討すべきです。
ITとは関係は無いですが、例えばEUの環境保護の考え方や難民受入方針などの様々な取り組みには、端から見ていても、そこまで言って大丈夫かなと心配するぐらい正論を貫いているように見えます。※かたや決断も出来ずアメリカの顔色をうかがいながら現状維持の不甲斐ない日本や、自国ファーストと言う究極の現実主義で突き進むアメリカも居ますが。
当然EUであっても、経済政策などでは現実に合わせて不本意な運営をしているようですが、EUを一つの組織と見なした場合に、見習うべきことも多いです。
SEの世界では、ある目標に対して、目標到達までの過程の工程を分解し、実現可能なスケジュールや工程表に落とし込む作業を「WBS」と呼びます。
一見到達が困難だと思われる目標であっても、WBSを丁寧に実施することで、到達まで道筋を立てることが出来ます。
「正論」が「有るべき姿」であるなら、実現可否の検討もしないまま安易に容易で無難な目標を設定するのではなく、必ず「正論」をゴールにするべきであり、その目標への到達が困難であれば、全く方向性の違う代替案でお茶を濁すのではなく、「正論」へ目指すことを前提として、その過程に細かくゴールを設定して確実に目標へ物事を進めていく必要があります。
自分が正しいと思ったことを貫いて全力を出せる仕事が、面白さややりがいを感じれる仕事になります。
まとめ
お恥ずかしながら偉そうに駄文を長々と書かさせて頂きました。
当ブログを読んで頂いている方々から言わせれば、何を当たり前のことを書いてんの??とか思われそうで恐縮ですが、もし100人が当ページにアクセスしてきて、そのなかの一人でも何か影響が与えられることが出来れば幸いです。
今回も読んで頂きましてありがとうございました。
次回もよろしくお願い致します。
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