業務システムをシステム開発会社に発注したら、「システム保守費用」を請求されました。
果たしてこの「システム保守費用」は払わなきゃいけないのでしょうか?
はい、払うべきだと思います。
「システム保守費用」とはなんでしょうか?
貴方がシステム開発における顧客側であれば、何らかの業務システムをシステム開発会社に作ってもらい、そのシステムを納品してもらった後に、その対価として開発費用を払います。これは当然ですね。
ただ、システム保守費用については、システム開発会社もその意味合いをちゃんと顧客に説明していないことが多く、その結果、顧客側は費用の必要性や意味を適切に理解できていないことが非常に多いです。個人的にはシステム開発会社の営業が顧客に必要性をしっかり説明できていないことが問題だと思っており、保守費用について受注段階でちゃんと取り決めていないことを意味している為、十分な保守費用がもらえないのはシステム開発会社側の責任だと考えています。
ただ、我々顧客側もシステム開発会社の事情を理解して両社がWin-Winとなる取引が出来るように知識を付ける必要があります。
そこで今回はシステム保守費用について説明します。
システム保守費用の相場
- 初期費用の10パーセント~20パーセント程度 / 年
ざっくりとした例えになりますが、1000万円でシステムを構築した場合、年間100万円から200万円程度がシステム保守費用として支払う感じになります。因みにその費用を12分割して毎月支払っていくケースが多いと思います。
さて、この金額は高いと感じますか? 安いと感じますか?
システムをリリースした直後は、頻繁にシステム開発会社に問合せをして、内部仕様の質問をしたり、おかしなデータを見てもらったりとシステム開発会社の技術者が自社の案件の仕事をしてくれていることが顧客にも見える為、費用が発生することを理解しやすいですが、システムが安定稼働してしまうと、システム開発会社への問合せも減り、自社の仕事をしてもらっていないのに費用が発生することについて、疑問を感じるようになるかも知れません。
システム開発会社視点での保守費用の必要性
顧客から見たシステム保守費用と、システム開発会社側から見たシステム保守費用は意味合いや必要性はだいぶ異なります。
では、システム開発会社の言い分を聞いてみましょう。
システム開発会社の営業の言い分
- 納品後のシステムで自社の技術者の作業が少しでも発生するなら、保守費用がもらえないとただ働きになる。
- 自社内の開発案件の閑散期などは、対象のシステム開発に関わったメンバーを他社システム開発会社に派遣させて客先常駐として売上を上げたいが、納品後のシステムに関する問合せ対応は開発に関わったメンバーしかできない為、客先常駐させたいのに外に出せず、売上が上がらない。
- システム開発の初期開発費用は、受注出来れば大きな売上だが、常に良い受注が出来るとは限らず波がある為、保守費用で固定収入を顧客から取り、安定した売上を作りたい。
システム開発会社の技術者の言い分
- 納品後もシステムに関する問合せや調査依頼が来る為、開発時に作成した設計書等のドキュメントも適切に管理する必要があり、プログラムのソースなども開発時の状況と同じように管理しておく必要があり、顧客からは見えないドキュメント管理やソース管理にもそれなりの労力が掛かっている。
- 新しい技術の習得や、上流工程などの経験をさせるために下位技術者を他社システム開発会社の案件に出したり、社内案件の他社顧客の案件を担当させたいが、定期的にシステムに関する問合せや軽微な修正依頼が来る為、対象の顧客の担当から外すことが出来ない。
- 顧客から直接プログラムの修正依頼が来て、顧客との関係維持を考慮すると断りきれず、いつも罪悪感を持って顧客の要望に応えている。また、そういった対応をしたことが自社営業にばれると対応前に相談しろと怒られて顧客と自社営業とで板挟みになり辛い。
要は、システムの納品後も、顧客は当然のように問合せや質問、軽微な作業が発生する依頼ごとをしてくる為、それに対応出来るように適切な人員やデータ、体制といった資源を確保しておく必要があります。
じゃあ、顧客側からしたら、取り敢えずシステム開発会社からの保守金額の希望額をそのまま受け入れ、言われるがまま毎月費用を払えば良いかと言えば、それも違います。そこは保守の中身を精査して、自社に最大限有利な条件で契約が終結出来るように交渉するべきです。
結論
- 保守費用は必ず払うべき。※今後自社が優位な立場で交渉出来るように、相手がいらないといっても払った方が良い。
- 保守契約の作業範囲を明確にして、可能な限り自社に有利な条件を組み入れる。※毎月軽微な人日程度であれば、当初の要件に無いプログラム修正も対応してももらえる、など。
- 保守費用を払うことが大事であって、金額は当然交渉して可能な限り下げる。※例え金額が低すぎて保守費用以上に技術者の稼働が発生していようが、ただ働きをお願いしている訳ではない為、開発会社側も社内への言い訳が立つ。
今回は私の独断と偏見が大いに入った内容なので、賛否両論あるかと思いますし、顧客やシステム開発会社の事業規模や開発案件の大きさによってはまったく当てはまらない場合もあるかと思いますが、少しでも顧客とシステム開発会社間の認識のずれが縮まることを願っています。
では、今回も読んでいただきありがとうございました。